深紅の花に姫君《改装版》
ーズキンッ
レインの腕の中でその温かさに微睡んでいると、刻印が、突然痛んだ。
この痛み………まさか!!
「レイン、ここから離れよう」
この刻印の痛み、近くにヴァンパイアがいる。この刻印は私に危険がある時に反応するから……
「視線を感じる……誰だ、出てこい!!」
レインも何かに気づいたのか、剣を抜き放ち、私を背にかばう。
「レイン、戦わなくていい!純血種だったら、私達だけじゃ…」
生きてさえいれば、それでいいんだ。
死んでしまったら意味無いよ………
「そうだよ、早く逃げなきゃ♪まぁ、もう遅いけど~」
私たち以外の誰かの声が聞こえた。
顔をあげると、宙に浮く漆黒の髪に紅の瞳の少年がいた。
ニタリと笑う口元から、鋭い牙が見える。
人の姿を持つ、ヴァンパイア………
純血種か、それとも多くの人間を喰らった混血か………
私も腰に差さる剣に手を添える。
手にじわっと手汗をかいているのが分かった。
「薔薇の姫を迎えに来ましたー☆刻印のおかげで、すぐにどこにいるのかわかったよ」
「一体何人喰らったの?それとも純血種?」
弱さを隠すように、強気にヴァンパイアを見つめる。
「300万くらい?そんなのいちいち覚えてるわけないじゃん」
「300万だと!?ふざけるな、俺達人間は食糧じゃねぇーんだよ!!」
レインがヴァンパイアを睨み付ける。そんなレインを、ヴァンパイアは面白そうに見下ろした。