深紅の花に姫君《改装版》




私の言葉に、レインは混乱しているのか、怒っているのか、眉間に皺を寄せる。


怒らせてしまった……かな……。


「なら、お前も、俺達騎士がヴァンパイアに殺されるのは、自然の摂理だって思うのかよ……?」


レインの瞳は、悲しそうに、不安そうに揺れていた。


違う、そういう意味じゃないんだよ。
どうしたら伝えられるの?どうしたら………


「生きるために最低限の命は奪ってしまっているけれど、私達は、無駄に命は殺さない」

「なら、数が少なければいいの?随分と自分勝手だね」


ヴァンパイアの瞳が冷たくなる。
それでも、怯まずに見つめ返した。


「……そんな、簡単な事じゃない。うまく言えないけど、こうやって、思ってる事を伝え合えるのに、あなた達は平気で人を殺す。それは、おかしいと、思う」


言葉を交わせるのなら、心も通わせられる。それなのに、その可能性も無下にして人を殺す。


そんな、理不尽な事はおかしい。
どうして、分かり合おうとしないの?


その声すらも無視して殺そうとするの?








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