深紅の花に姫君《改装版》
私が男装をして過ごしたのは、生まれてから17年間ずっと。これは、国家秘密事項であり、知っているのは王と側近、大臣のみだ。
これも、ヴァンパイアやこの血を利用しようとする人達から身を守る為の策だった。
ただ、力の強いヴァンパイアには匂いでばれてしまうのだけれど………
「お前は1年後、18になるな」
「はい、そうですね、父様」
そう、男装も一生というわけじゃない。
18歳になるその時、つまり結婚の適齢期に姫としてお披露目され、すぐに結婚させられる。
それが、アルバンテールの姫の行く末。
「セレネリスばあ様も、お前の刻印が濃くなっている事を気にしておられた」
「セレネリスばあ様が………」
アルバンテール姫であったセレネリスばあ様。
老いと共に血は力を失うのだが、そこまで生きられる姫は数少ない。
母様のいない私にとって、セレネリスばあ様は私の良き理解者だ。
「そこでだ、お前に専属の護衛をつける事にした」
「はい………え?」
公の場だというのに、敬語を使うのを忘れてしまうほど、私の頭は?マークでいっぱいだった。
護衛をつける??
私の秘密は国家秘密事項なんだよ?というか、秘密を知る人間を増やすのは、あまり得策じゃないと、思うんだけど……
「大臣や父様の側近だけで限界でしょ?これ以上漏洩(ろうえい)の危険を増やすのはどうかと思うんだけど!」
「いや、お前が姫である事は隠し通す。王子の側近って事にした」
は、はぁ??
にしたって……突然、怪しまれないかなぁ……
「頑張って隠し通せ。こんな危険はおかしたくないが、何もつけないのも不安だ。命あってのお前だからな、バレた時はその時だ」
「相変わらず、適当ー…」
父様はたまに適当な時がある。
そんな、その時考えるって、そんな王様普通いる?