深紅の花に姫君《改装版》
「僕は……薔薇の刻印、アルバンテール国の王証を持ってる」
あくまで、刻印の事だけは伝えよう。私が女であることは、まだ秘密にしなくちゃ。
それが広まれば広まるほど、ヴァンパイアだけじゃない、この血を利用しようとする人からも狙われてしまう。
そんな危険を、レインには合わせたくない。
「何でお前が刻印を持ってるんだよ。アレは姫にしか与えられない証だろ!?」
「えっと………手違い?」
「お前、ふざけんなよ?」
うぅっ………分かってたけど、そうなるよね。
信じてもらえないよね……
「お前………本当は女なんじゃないのか?」
「!!」
レインの真っ直ぐな瞳が突き刺さる。
その視線から逃れるように視線を反らした。
「僕は……男だ」
「男に薔薇の刻印は現れないんじゃねぇの?」
「僕が異例なんだよ、きっと。だって、どこからどう見たって、僕は男だろ?」
身なりを見せるように両手を広げる。
サラシで締め付けて、胸の膨らみも無いし、服装だって男性のモノだ。