深紅の花に姫君《改装版》
「レイン、返事を聞いてから部屋には入るものだよ?」
「いいだろ、友達なんだし。それに、急いでたからよ」
友達とかこつけて色々やりそうだな、この人。
それも、悪くはないか、と思ってる私自身にびっくりする。
「急いでた?何かあったの?」
「あぁ、鍛練場へ行かないか?これから、団長の剣舞が見れるらしいんだ」
「スヴェンの剣舞………」
そういえば、スヴェンと父様は最高に強く美しい剣舞を舞うのだとか。
噂には聞いてたけど、それが見れるなんて………
「それは、すごく見たいかも」
「だろ!部屋にいるより外の方が気も晴れるしな」
笑いかけてくるレインに、私も笑みを返す。
レイン、私の事、気づいてたんだ…………
私、そんなに暗かったかな。
「ありがとう、レイン」
「ほら、早く準備して来い。部屋の前で待ってる」
ポンッと頭を撫でてレインは部屋の外へと出て行く。それを見送ると、自然と顔に笑みを浮かべている自分に気づいた。
レイン、ありがとう。
今はすごく胸がわくわくしてる。さっきまで不安でいっぱいだったのが嘘みたい。
私は手短に着替えを済ませ、髪を高い位置に結ぶ。
腰に剣を差して、準備を整えると部屋を出た。