深紅の花に姫君《改装版》


「ほら、剣舞が始まるぞ」


レインに促され、鍛練場の休憩席に座る。
そこからスヴェンを見つめた。


♪~♪~♪~


音が鳴り始めると、スヴェンが剣を構え舞い始める。


ーブンッ!!

その度に剣によって起こされる風が凄まじい。


「スヴェンは、大剣で待ってるのか。スヴェンにしか出来ない力強い舞いだね」


歳を感じさせない力強い舞い。
見るものを圧倒する、最強の騎士の舞いだ。


「今年で40だろ、団長」

「無敵の覇王の名は健在だな」


騎士達の驚く声があちらこちらから聞こえる。



スヴェン…………
あの、絶望から私を救い上げてくれた人。


傷だらけになって、必死にヴァンパイアから私を守り抜いた最強の騎士。



スヴェンがいなければ、私は今ここにはいなかった。


「団長が舞うのは久しぶりだな」

「そうなの?」


レイン達も見るのが久しぶりだなんて、スヴェン、どうして…
私が小さい頃、よく父様と舞ってたのに…
















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