深紅の花に姫君《改装版》
「少し、外の風に当たってきます」
「あぁ、バルコニーだけにするのだぞ、長居しないように」
「はい」
心配性な父様に見送られ、私はバルコニーへと出る。
そこには、美しい星空が広がっていた。
「風が…気持ちいいな……」
私の髪を、夜風が撫でる。
暑苦しい広間にいた私には、丁度いい冷たさだった。
「めんどくせぇ……なんで国家認定騎士団だけ強制参加なんだよ」
すると、同じくバルコニーに逃げてきた同い年くらいの男の子が視界に入った。
綺麗な銀髪………
月明かりがそれをまるで宝石のように輝かせている。
その男の子がバルコニーの手すりに近づくと、その瞳が見えた。
「瞳も同じ銀色なんだ!?」
「!!?」
声を上げると、男の子は驚いたように私を見つめる。
そして目を見開いたまま、私を見つめた。
「……………………………」
「……………………………」
ただ、無言で見つめ合う。
え、何??
なんで、何も言わないの!?
それにしても、この人………
本当に、綺麗な人だなぁ……
「女………?」
そして、その口から出た言葉に私は絶句する。
え、女って言わなかった!?
この人、女って言ったよね!!?