深紅の花に姫君《改装版》
「レインは見た事なかったよな」
「そうっすね、俺が騎士団に入ったのつい最近だし」
レインにも見られるのか………
あぁ、何か恥ずかしいな。
「それじゃあ、一つ、舞うことにするね」
双剣を構え、瞳を閉じる。
♪~♪~♪~
音楽が鳴り始めると、私はゆっくりと舞い始めた。
流れるように、静かに………
微風のように軽く、私が風になったかのように回る。
ーシュンッ、シュンッ
今私にあるのは、音楽と、風。
ここにいる騎士達へ、その揺るぎなき忠誠への感謝を込めて。
「なんて美しい……」
「あぁ……」
騎士達はその美しさに言葉を失った。
皆がただ、私を見つめている。
こんなに心が研ぎ澄まされて、心地良いのは久しぶり…
今はまだ、答えが見つからないけど……
求める事を諦めなければ、きっとたどり着けるよね?
舞いながら、もやもやしていた心が晴れていくのを感じる。
そうだ、母様の私室に行ってみよう。
そこで、何か手がかりが無いか探ってみるのもいいよね。
心が前向きになった所で、私は笑みを浮かべ剣の動きを少しずつ早めていく。
音楽が終盤の音を奏で始めた。
もうじき、舞いが終わるんだ……
名残惜しい気持ちと、達成感に心が踊る。
♪~………
そして、音楽が鳴りやむ、その余韻に合わせて、流れるように動きを止めた。