深紅の花に姫君《改装版》
「スイラン、どうかしたのか?」
倒れたまま、ボーッとする私に、レインが声をかけてくる。
「いや、もっと強くなりたいなと思ったんだ」
そう言って苦笑いを浮かべると、レインは何かを考え込むように黙り込んだ。
「レイン?」
どうしたんだろう、急に黙り混んで……
「スイランは、俺に守られてればいい。お前がわざわざ、危険を侵す必要はねぇよ」
見下ろすレインの瞳は、いつも真っ直ぐで曇りがなくて、強い。だからこそ、私は心が揺れる。
頼ってしまいたくなる………
「僕は、王子だ……守られているわけにはいかないよ。この身は、アルバンテールの為にあるのだから」
「お前は、お前の為に在るんだろーが。他の誰にも、国でさえもそれを否定することは出来ねぇよ」
「そう……ならよかったよ…」
レインの言う通り、私が私だけのモノだったのなら、自由に生きられたのだと思う。