深紅の花に姫君《改装版》


「スイラン、どうかしたのか?」


倒れたまま、ボーッとする私に、レインが声をかけてくる。



「いや、もっと強くなりたいなと思ったんだ」


そう言って苦笑いを浮かべると、レインは何かを考え込むように黙り込んだ。


「レイン?」


どうしたんだろう、急に黙り混んで……


「スイランは、俺に守られてればいい。お前がわざわざ、危険を侵す必要はねぇよ」


見下ろすレインの瞳は、いつも真っ直ぐで曇りがなくて、強い。だからこそ、私は心が揺れる。


頼ってしまいたくなる………


「僕は、王子だ……守られているわけにはいかないよ。この身は、アルバンテールの為にあるのだから」


「お前は、お前の為に在るんだろーが。他の誰にも、国でさえもそれを否定することは出来ねぇよ」


「そう……ならよかったよ…」


レインの言う通り、私が私だけのモノだったのなら、自由に生きられたのだと思う。












< 56 / 219 >

この作品をシェア

pagetop