深紅の花に姫君《改装版》
「確かに、ディオナ様を女王として君臨させ、王権を奪う事が出来るからな」
父様やスヴェンの言葉に心が重くなっていく。
どうか、身内で争うような事にならないで……
心の中で祈る。
私の血が、引き金にならないように……
「父様、バルサ叔父様やディオナと話し合うべきだよ。何とか、話し合いで解決を……」
「話し合いで解決出来るのならそうしている。もう、遅いのだ。我々の間にある溝は深い……もう、修復出来ぬほどにな」
「父様………」
分かってる。
分家との争いは、セレネリスばあ様の頃から続くものだから。
「スイラン、しばらく外出は控えるのだ。今回の事は私に任せなさい」
私に任せなさいって……
父様、もしかして刑にかける気じゃ……
「父様………まさか、刑にかける気なの?」
「諜報員を送り込んでいる事すら我々への敵意だ。相応の刑はいたしかたない」
「ふざけないで……」
私は父様の目の前まで行き、その手を掴む。
「お願い、考え直して。それをしてしまったら、また……私達の溝は深まってしまう!!」
「……お前を守る為だ」
「私を言い訳にしないで!!」
つい、声を荒げてしまう。
皆が息をのんで見つめているのが分かった。