深紅の花に姫君《改装版》


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あの日から、私は部屋を出られなくなった。
そんな私の所へ、レインは訓練が終るとすぐに来てくれる。


「レイン、外の様子はどう?父様はどう動いてる?」

「城の、とくにスイランへの警護を増やしてるな。他には、バルサ様の所にも、諜報員を送り込んでるみたいだが…」

「そう……」


父様、本格的に動き出したんだ。
あちらの情報を握りしだい、刑にかける。


それは手っ取り早いけど、それでは……


ーコンコンッ


すると、部屋を誰かがノックした。
レインが出ると、入ってきたのはマルクス大臣だ。


「マルクス大臣?どうかしたの?」


大臣が部屋に来るなんて、滅多にない。
まさか、父様が何か……


「スイラン様、ディオナ様がこちらにみえられまして。お会いになって欲しいと仰っているのですが……」

「ディオナが!?」


ディオナ、こんな時期にここへ来るなんて何を考えてるの!?殺されてしまうかもしれないのに!!


「ディオナ様は、スイラン様に和解を求めようと来たのです。どうか、話を…」

「和解を……そう、ディオナも同じ気持ちでいてくれたんだ!」


良かった。
だったら、ディオナと話し合って、良い案を考えたらいいんだ。一人より二人、きっと解決策が見つかる。


「待ってください。こんな状況で、大臣ともあろう方がディオナ様を城にあげたんですか?」


レインは大臣の前に立ち、強い瞳で見返す。


「私は、争ってほしくないのです。スイラン様と同じように、今は身内で争っている場合ではないと考えます」

「大臣……」


大臣もそう思ってくれていたんだ。
だとしたら、私の答えはひとつ。




















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