深紅の花に姫君《改装版》
「誉めすぎですよ、マルクス大臣。それよりも、そちらは?」
レインはディオナの後ろに控える騎士に視線を送る。
騎士は頷いて少し前に出た。
「ディオナ様の護衛を務めております、クリス・カートンです」
銀色の短髪に、揃いの銀の瞳を持つクリスは、不思議な美しさがあった。
何だろう………この違和感……
ードクンッ
動悸がする……
それに、刻印が疼く。
気のせい………?
「スイラン王子?」
レインが心配そうに私の顔をのぞき込んでくる。
「ううん、何でもない。よろしく、クリス」
私は手を差し出す。
「っ!!」
しかし、それを見てクリスは息をのみ、首を横に振った。
「私などが触れて良い存在ではありませんので……」
そう言ってクリスはディオナの後ろに下がってしまった。
「ふふっ、気にしなくていいのに。クリス、僕たちは同じ人でしょ?」
「………そう、ですね……」
クリスは一瞬、苦しそうに顔を歪め、そう答えた。
クリス……??
なんか、クリス様子が明らかにおかしい。