深紅の花に姫君《改装版》
「スイラン、今日はあなたにお願いがあって来たのよ。お父様の事でちょっと……」
「バルサ…叔父様の事……」
嫌な予感が、私の中に蠢く。
父様の考えが、的を射ていたかもしれない。
だとしたら………
見えるのは最悪の未来。
「ディオナ、バルサ叔父様は、王位をあなたに継がせたがってる……?」
「………ええ。スイランがそう勘づいたという事は、ケナン王は既に承知の事なのね」
ディオナの言葉に頷くと、ディオナは悲しげに俯いた。
「私は王位なんていらないわ。それには、相応しい人がいるもの」
ディオナはそう言って私を見る。
それは私だと言っているのが分かった。
「王位は、相応しき血を持つものが継ぐものだもの」
「…………相応しき血……」
この身に流れる女神の血。
人でありながら、人ならざる力を宿す。