深紅の花に姫君《改装版》
「そう、その血………」
ディオナは私の右手をとる。
そして、そっと唇を近づけた。
「ディオナ?」
首を傾げると、ディオナがフッと笑った気がした。
「離れろ!!スイラン!!」
それに気づいたレインが私に駆け寄ろうとする。
しかし、遅かった。
ーガブッ
「痛っ!!何をっ……!?」
手首にディオナが噛みつき、血が流れる。
私は、頭が真っ白になり、呆然と立ち尽くした。
「ジュルッ……ふふっ……はぁ…」
私の血を啜り、満足そうに顔を離す。
私の手首からは、ドクドクと血が流れていた。
「スイラン、手ぇ貸せ!!」
「っ…………」
レインは私の手首を手際よく止血する。
「これで、ディオナ様は女神の血を宿しました。あなたはもう用済みです」
するとマルクス大臣がディオナの隣に立ち、礼をする。
「ディオナ、、新な女王……。あなた様に仕えられる時がやっと来たのですね」
「マルクス……大臣……?」
嘘でしょ?
ずっと父様や私を支えてきたマルクス大臣まで、私を裏切ってたっていうの?
「スイラン、その絶望する顔、ずっと見たかったわぁ!」
ディオナは可笑しそうに笑い、口元の血を拭う。