深紅の花に姫君《改装版》
⭐rain side⭐
「名前、聞きそびれたな」
またねって………
見た感じ、どこかの貴族だろ。
また会えるかどうかなんてわかんねぇのに………
「変な奴」
なのに、また会いたいと思うのは、何故だ。
また、あの美しい男と話したいと惹かれる。
「いやいや、男だろ、あいつ」
俺は疲れてるんだ。
女ばっかに追われて嫌気がさしてたしな、そうに違いねぇ。
それにしても、本当に女みたいだったな。
声も、歳が近そうな気がしてたが、声変わりすらしていない高く透き通った声だった。
「また、会いてぇな」
居心地の良い奴だった。
縁があればまた、会えるんだろうか。
その時は、また………
こんな静かな月夜がいい。
お前の声が、良く聞こえるように………