深紅の花に姫君《改装版》
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「お先真っ暗とはこの事だわ………」
私は一人、母様の自室で手がかり探しをしていた。
ヴァンパイアと人の共存。
それを誰よりも望んでいた母様なら、その方法を見つけていたかもしれないって思ったけど……
「願いでしかないの………?」
一人、項垂れるように椅子に腰かける。
ここに腰かけると、天窓から空が見えた。
「母様も、こんな風に空を見て悩んだの?」
澄みわたる空は、私の気持ちを少しだが軽くさせた。
「私たちは、どうして争う事を止められないんだろう…」
それは、人とヴァンパイアだけではなく、人と人同士の争いも同じ。
「結局、種族がどうのって、問題じゃないんだ。利益や、金、権利、欲望の為に平気で何かを犠牲にする。蔑む……」
この世界は、争いで溢れている。
「はぁ…………」
時間が無いのに…………。
いつ、あのヴァンパイア達が襲ってくるのかも分からない。答えを見つけなきゃいけないのに……
腕で目を覆い、ため息をつく。
答えなんて、どこにあるのよ…………