深紅の花に姫君《改装版》
ーコンコン
落ち込んでいると、部屋がノックされた。
レイン??
もう、訓練が終わったの………?
「入って」
「失礼しますな」
すると、そこに入って来たのは、見知らぬ老人だった。
「えっと………?」
このおじさん、誰!?
首を傾げていると、おじさんは「ハッハッハ」と気さくな笑みを向けてきた。
「覚えてないのも仕方がないじゃろうな。面識があったのは4歳の時なのじゃ」
「えっ、えっ!?」
「ハッハッハ、ヘルダルフおじちゃんじゃよ。ケナン王から聞いたことなかったかのう?」
ヘルダルフおじちゃん…………
もしかして、父様がよく話してくれた、私の遠縁の祖父の事??
「確か、大臣をやっていたっていう………?」
「マルクスがしでかしたのは知っておるよ。それで、ワシに白羽の矢が立ったんじゃ。全く、こんな老いぼれを駆り出すなんて、人使いの荒い奴よのう」
笑うヘルダルフおじちゃんに、私もつられて笑う。
記憶にはないが、小さいときは本当に良く可愛がってくれたらしい。
「ヘルダルフさん、父様のお話しの中でしかしらなかったので、お会いできて嬉しいです」
「ヘルダルフおじちゃんでいいんじゃよ!それに、ワシはスイラン様が姫だという事も知っておる」
「!!」
では、本当にこの人は…………
嬉しい、分家にも、こうやって私を守ってくれていた人がいたんだ……