深紅の花に姫君《改装版》
「辛い棘の道よ。だがのう、女王だからこそ、大切な者を守る力があるのじゃ」
孤独と引き換えに得るのは、大切な人達を守る力。
「私は、孤独になる事が怖い。だから、そんな強くはなれない……。いつだって、誰かにすがりたいんです」
嫌われ、遠ざけられるのは怖い。
裏切られ、傷つくのは嫌。
それに、力の使い道を、私はまだ見つけられてない。
「なれば、その孤独と、宿命を、共に背負う誰かを見つけたらいいのじゃ。スイラン様の母君や父君のようにのう」
「母様と父様……?」
「ケナン王も、アスラーナ女王の運命も全て受け入れて愛したんじゃ。そんな人が、スイラン様にも現れよう」
そんな人………私にも現れるのかな。
『お前が今の現実から逃げてぇって言うなら、俺は、お前を連れて一緒に逃げてやるから…』
ふと、レインの言葉がよみがえる。
レイン、私の事を連れて逃げるって言ってくれた。
幸せになれって言ってくれた………
もしかしたら、私の運命も背負ってくれるのは、レインだけなんじゃないかな。