深紅の花に姫君《改装版》


「つい、この間、ヴァンパイアと言葉を交わしました。ヴァンパイアは、食欲を埋める為に、人を喰らうのだと…」


そう、それは人が動物を殺し、肉を食べるのと同じ。


「動物や魚を殺して、食料にする……私達も同じだと、ヴァンパイアは言ったんです。私、認めたくはないけれど、その言葉は正しいと思いました」


そう、私達とヴァンパイアは、生きるために殺した。
でも、それを正しいと言い切るのは、違う。



「こうやって、お互いの思いを知る為に言葉を交わせた。きっと、そうやって互いを知る事で、心を通わせる事が出来るかもしれないと気づいたんです」


「それで、スイラン様はどうするべきだと思っておるのじゃ?」


「だから……その食糧と狩る者という関係性を変えられれば、私達は共に生きられると思います」



言葉を交わす。

それは、送り手だけでは一方通行になってしまうけれど、聞き手が聞こうとする気持ちがあるから、言葉になる。



あの時、あのヴァンパイアは確かに私の聞き手として存在していた。私の言葉を聞こうとしてくれた。





















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