深紅の花に姫君《改装版》
「セレネリス婆様……」
そういえば、最近はセレネリス婆様に会いに行ってなかったなぁ……
ヘルダルフおじちゃんと別れ、廊下を歩いていると、最近忙しかった事を思い出す。
セレネリス婆様は、この城ではなく、アルバンテール国の女神、アリアの眠るカルノンゲーテ教会で女神様に祈りを捧げている。
「そんなに距離も無いし、一人で行ってこようかな」
レインの訓練を待っていると、日が暮れそう。
その方が危ないし………
私は馬小屋へと向かい、愛馬のたてがみを撫でた。
気品のある白馬、小さい頃から一緒にいる。
「ダイア、よろしくね」
声をかけると、嬉しそうにヒヒーンッと鳴いた。
ダイヤの背に跨がると、慌てたように兵士達が駆け寄る。
「王子!!どこへ行かれるのですか!?」
「せめてレインをお連れ下さい!」
あはは、こうなるよね………
でもなぁ、時間も惜しいし。
「セレネリス婆様の所に行くから、レインにもそう伝えといて!ハッ!」
ダイアの横腹を蹴り、勢い良く駆け出す。
兵士の制止も聞かずに、セレネリス婆様のいるカルノンゲーテの教会へと向かった。