深紅の花に姫君《改装版》
「セレネリス様なら、中にいらっしゃいます。ご案内いたします」
「あっ………ありがとう!」
歩き出す女の子の後ろを慌てて追いかける。
「えっと、私はスイラン。あなたは??」
「スイラン様、存じています。私は……セシルと言います」
セシル………やっぱりどこかで聞いた事が……
『セシル、私は地上が好きよ』
「!!」
突然、誰かの声が聞こえた。
私は驚きに立ち止まる。
『……セリ様がいるから……でしょうか』
視界がぼやけ、気が遠くなる。
カルノンゲーテの教会の前、花々の中に立つ二人の人影。
『そうね。セリを好きになって、そしてその周りにいる人達、彼らが住む場所である地上を好きになったわ』
『………ですが、神は地上を壊すことを決めてしまわれました。それを、覆す事など出来ません…』
あぁ、どうしてかな………
まるで、私自身がそう思っているかのように言葉が出る。
「まだ、この深紅の想いがあるわ………って、あれ??」
私は何を??
急に、意識が遠くなって………というか、今のは何だったんだろう……
「ご気分は大丈夫ですか?」
気づけば、立ち止まっていた私を心配そうにセシルが見ていた。