深紅の花に姫君《改装版》
「そんな力が、私にもあればいいのに………」
そうしたら、ヴァンパイアの事も、戦争も無くせるのかな…
「スイラン。女神の深紅の想いは、薔薇の花びらとなって、女神の愛を受け継ぐ存在に、同じように地上で世界の未来を願った姫に降り注ぎ、薔薇の姫が生まれたとされているんだよ」
「初代、アルバンテール女王、リプアラ姫……」
聞いた事がある。
初代、薔薇の姫の力はまるで、女神そのもののように強かったのだと。
「それから、代々アルバンテールの女王には薔薇の刻印、つまり女神の力を宿す血をもって生まれるようになったんだよ」
薔薇の姫としての宿命の始まり………
「私の中に流れる血に、そんな歴史があったなんて……」
「ただ、スイラン。スイランの血は、いいや、魂は特別なものだよ」
「え………?」
私の魂が、特別って………?
首を傾げ、セレネリス婆様を見ると、セレネリス婆様は私の両頬を優しく両手で包み込む。