深紅の花に姫君《改装版》
「スイラン、スイランは恐らく、女神アリアの生まれ変わりであろう」
「ええっ!?わ、私がですか??」
ありえない………
私はただの人間だし、女神の生まれ変わりだなんて……
「天使セシルがスイランを見守っていた事がなによりの証」
「天使、セシル??」
「この教会に招き入れた人がいなかったかい?」
あの紫色の髪の女の子………!?
でも、普通に人間だったよ!!?
「あの女の子が天使だって言うんですか!?」
「そうかい、天使は女の子なんだね……。私には、声しか聞こえないからねぇ、スイランには姿が見えるんだね」
え、あの子私にしか見えないの!!?
あの子が天使………
でも、本当に綺麗な女の子だったなぁ。
天使と言われれば、納得できる。
「天使は、神に仕える存在。天使セシルは、女神アリアに仕えていたのだと、聞いた事があるよ」
「そうなんですね………」
そうだとしたら、私は本当に女神の生まれ変わりらしい。
私にはあの天使の姿も、声も聞こえた。
それに、時折り聞こえるわたしでないはずの声に感じる懐かしさ。
知るはずの無い想いへの共感………
「だとしたら、私にも何か特別な力はないのですか?私は、ヴァンパイアと人が共に生きる道を探しているんです!」
私が女神の生まれ変わりでも、薔薇の姫でも何でもいい!!
運命を切り開く力が欲しかった。
傷は癒せても、それだけ。
私は結局何も変える事が出来なかった。
力に頼るのは、間違いなのかもしれない。
それでも、それ以外の方法が見つからなかった。