不思議な力を持つ女の子と暴走族の話。上
部屋に入ると、ハルキさん、ツバサさん、アカリさんの3人が既にソファーに座っていた。
『(あ、あの、色々とありがとうございました)』
ペコっと頭を下げ、出口のあるドアの方へ足をやった。
「あれ?もしかしてリンちゃんここから出て行こうしてる?」
ハルキさんの声に止められた。
こくんと頷くと、
「だめだよまだ傷は治ってないんだし。それに行くとこないんでしょ?」
な、なんでそれをわかっているんだ…
行くとこはない。
ないけど、私にはやらなきゃいけないことがある。
「あはは〜何でって顔してる〜。そりゃーわかるよ。リンちゃん、昨日家に帰るなんて素振り見せなかったしね」
「まじでこえー観察力…」
怯えた顔のツバサさんに私も同感だ。
ハルキさんは人の行動や表情をよく見ている人なのか…。