君が教えてくれた事
部屋に着いて、コンビニの弁当を1人で食べる。
部屋の隅には、小さなスポーツバック。
昼間、リカが一緒に用意をしてくれた。
たった1泊2日の旅行。
それでも、俺にとっては、生まれて初めての楽しみな夏休み。
きっと今日は眠れない。
旅行が楽しみだから。
隣にリカが居ないから・・・。
狭いはずのベッドが、今日はやけに広く感じる。
リカの頭の重みがない左腕が、寂しがってるんだ。
♪〜♪〜♪
「もしもし」
『歩太、起きてた?』
「うん。」
『そっか・・・』
少し元気のないリカの声を聞いて、不安になる。
「リカ?どうした?」
『・・・・・・。』
「リカ?」
『・・・寂しい。歩太がいないと、寂しくて眠れない。』
ギュッと胸が苦しくなる。
「リカ、大丈夫?今から行こうか?」
『大丈夫だよ。声が聞けたから、ちょっとだけ寂しくなくなった。』
「リカ?」
『歩太、明日早く来てね。遅れないでよ?早く会いたいんだから〜!』
いつもの明るい声から、リカの寂しさが伝わる。
俺だけじゃなかったんだよな?
リカだって、俺がいない事、寂しく思ってくれてるんだな。
「リカ、俺も寂しいよ。お前がいないと、俺も寂しいよ。」
今日、別々の家に帰って良かったかもな。
じゃないと、気付かなかった。
お前が隣にいる事が、いつの間にか当たり前になってたんだ。
本当は、すごく幸せな事なのに。
今日は、リカの事を想って眠りにつくよ。
そしたらきっと、会えるだろ?
夢の中で、笑ってくれるだろ?
目が覚めたら、リカに会える。
そう考えたら、寂しくないよ。
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