君が教えてくれた事




涙の音が、俺達の耳にしっかりと届く。



「歩太、うみーっ!!」




目の前に姿を現した海。



キラキラと光りを放つ白い波と気持ちいい風。




リカは俺の手を取ると、一直線に海に向かって走り出した。



海水浴シーズンを過ぎた海は、人もまばらで砂浜もとてもキレイだった。



日本の海はもっと汚れていると思っていた。



でも目の前に広がる海は、真っ青で透き通っている。



真っ白い砂浜も、自然の物とは思えないくらいだ。





リカはサンダルを脱ぐと、ためらう事なく海に足を入れた。




俺は何だか泣きそうだった。



何度も頭の中で想像していた海。



おばあちゃんが聞かせてくれた海の話。


分かる気がした。



こんなに大きくて、キレイな海を見ていたら、本当に自分がちっぽけに思える。


悩んでいる事も、忘れさせてくれる様な気がする。




おばあちゃん


俺、初めて海に来たよ。



すごく大事な子と一緒に、来る事が出来たよ。



見えてる?




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