君が教えてくれた事



“早く早く”とリカは手招きをして俺を呼ぶ。




俺は靴を脱ぎ捨て、ズボンを膝まで捲り上げると海に足を踏み入れた。




眩しい日差しと冷たい海水。潮の香り。

波の音と、俺を呼ぶリカの声。



現実感のない世界。


心の中から、キレイになっていく様な不思議な感覚だった。





「きゃ〜〜〜っ!つめた〜いっ!!」



油断していると、突然大きな波がやって来て、リカは逃げる様に俺に飛びついてくる。



リカの手をしっかり握って、波を追っかけたり逃げたり・・・



二人して大きな声を上げて笑った。




「あ〜ゆ〜た〜、り〜か〜っ!ラブラブ〜ラブラブ〜!!」


リカは嬉しそうに砂浜に相合い傘を書く。



俺がふざけて足で消すと、本気で怒って追いかけてくる。



砂に足を取られて転びそうになる俺に、容赦なく体をぶつけて来て、満足そうに笑っている。



リカの子供みたいにはしゃぐ姿が、可愛くてたまらなかった。




砂まみれになりながら、時間を忘れてクタクタになるまで遊んだ。




.
< 128 / 260 >

この作品をシェア

pagetop