君が教えてくれた事
「あの・・・、歩太と出会うずっと前にね・・・一回だけ・・・」
すぐ隣にいるはずのリカの声が、遠くの方で聞こえる。
リカにとって俺が初めての彼氏じゃないって事、分かってた。
19歳の女の子。
普通に恋だってしてきただろうし、彼氏だっていたよな・・・
リカはかわいいし、いい子だし・・・
当たり前だよな。
普通の事だよな。
分かってんだよ?
分かってんだけど・・・
すっげー落ち込むんだ。
今、一緒にいるのは俺なのに・・・
リカは俺のものなのに。
いつかリカは俺から離れて行く?
今、俺の隣にいるリカは、いつか俺じゃない誰かの隣で、笑顔を見せるのか?
考えても仕方のない事。
でも、止まらない。
恐怖なのか・・・不安なのか・・・
わけの分からない感情が俺を支配して、もうリカの声が耳に入って来ない。
.