君が教えてくれた事
「ね〜歩太?さっきの、あの・・・ホントずっと前の話だよ?」
聞きたくない。
知りたくないくせに、頭ん中はそればっかで・・・
リカは悪くない。
悪いのは、真っ黒な心を持つ俺。
「どうしたらいいの?謝ればいいわけ?私、歩太に謝らないといけないの?
昔の話じゃんっ!
過去が消せるなら消すよっ?
歩太が嫌がるなら消すよっ!
でも、そんなの出来ないじゃんっ!」
怒鳴る様にそう言ったリカ。
“過去が消せるなら消す”
俺、リカに何て事言わせてんだよ・・・
リカは俺の過去を全て受け入れて、一緒にいてくれているのに。
過去を消してもいいなんて・・・
そんな事まで言わせて・・・
「悪い。・・・ちょっと一人にさせて・・・」
リカの目を真っ直ぐ見れないなんて、俺最悪だ。
部屋を出た俺がフラフラとたどり着いたのは、旅館の中庭。
綺麗に手入れされた植木や、静かに響く池の水の音。
ぼんやりと眺めながら、今俺の中にある感情が何なのかを考えていた。
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