君が教えてくれた事



リカに出会ってから俺は、今まで知らなかったいろんな感情を知った。



嬉しいとか、切ないとか、幸せだとか・・・


愛してるとか・・・



どの感情も、大切に思えた。



時には苦しくても、心の中はリカが好きって気持ちでいっぱいで・・・




今だって、リカの事が好きな気持ちはちっとも変わらないのに、決してキレイなものではない感情が、溢れ出してしまった。




悲しい顔をさせて、悲しい言葉を言わせてしまった。



頭の中では分かっているのに、心が言う事を聞いてくれない。




いくら考えても、心が晴れないんだ。





「歩太、ここに居たの?
・・・部屋に戻ろう?」



探しに来てくれたリカに、どこかホッとする自分がいる。



でも、この気持ちを持ったまま部屋に戻ってもいいのか?



また、リカを傷つけてしまうかも知れない。




庭の景色に目を向けたままの俺に、



「歩太、お願い。」


辛そうなリカの声が届く。



その声を聞いて、俺はようやく立ち上がった。





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