君が教えてくれた事
部屋に戻っても、やっぱり俺は・・・
自分の感情を理解出来ないままでいた。
そんな俺の目の前に座り、リカは俺の両手を優しく握った。
触れた部分から伝わるリカの体温。
失うのが怖かった。
「歩太、話して?・・・何を考えてるの?」
黙り込む俺を理解しようとしてくれるリカ。
ホントにごめん。
「自分でも、分かんねぇ。・・・別にリカが悪い訳じゃない。
ただ何か、・・・おもしろくねぇんだ・・・」
子供すぎる自分に腹が立つ。
情けない自分が、リカを傷つけてしまう。
資格がない?
リカの隣に居る資格なんて、俺にはない?
でも、リカを手放したくない。
ずっと一緒にいたいんだ。
俺だけのものでいてほしいんだ。
リカは穏やかに笑うと、俺の体を包み込む様に抱きしめてくれた。
そして、俺の胸の中にある、どす黒い感情の正体を、
俺に教えてくれた。
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