君が教えてくれた事



俺の手から、リカの手がスルリと抜け落ちた。



「・・・どうして?

・・・私の事、・・・愛してなかった・・・?」



「違うっ!それは絶対違う!」



愛してる。愛してる。愛してる。



愛してんだよ・・・



「歩太、どうして?私、嬉しいんだよ?歩太の赤ちゃん、産みたいよ。・・・産んだらダメかな・・・?」




泣き出しそうなリカの顔を見ても、俺は・・・




「ごめん。俺には、無理だ・・・」




俺が父親になるなんて・・・



そんな事が出来るわけがない。



どうやって愛したらいいんだよ?



愛してやれない。



幸せにしてやれない。





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