君が教えてくれた事
約束の2週間を迎えて、あの日以来初めて俺の部屋にリカが来た。
小さなテーブルを挟んで座ると、リカは覚悟を決めた様に口を開いた。
「歩太、答え、聞いていいかな?ちゃんと考えてくれたよね?」
静かに響くリカの声が、微かに震えている。
「リカ、俺、やっぱり無理だ・・・。」
俺はずるい。
一番辛いのはリカなのに・・・
リカを傷つけ、暗闇に突き落とす様な言葉を突きつけているのに・・・
下を向き、自分勝手に泣き出す始末。
今までの人生がどんなに最悪でも、今の自分ほど最低な人間はいなかった。
ただ自分を守る事しか考えないで生きてきた俺は、一番大切で、一番守りたい人を、一番不幸にしている。
「・・・分かった。・・・歩太の、言う通りにするよ・・・」
光を失った様なリカの目。
唇をキツく噛み締めて、それでも、涙を流さない。
立ち上がりフラフラと玄関に向かうリカを追いかけ、泣きながら謝る俺は、リカの目にはどう映っているのだろう?
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