君が教えてくれた事
闇の中の光



次の日から俺はまた海賊に戻った。



この1週間、リカを見付ける手掛かりさえないまま、ただ探し回っていた。



心の中にポッカリと空いた穴は、ブラックホールの様に、抜け出せない深い暗闇が広がるだけ。




繋がらない電話をかけて、返事の来ないメールを送り続ける。





店のみんなは、1週間振りに姿を現した俺と、未だに連絡すら取れないリカに、何かがあった事は、とっくに気づいているだろう。



事情を話せないまま、ただ無断で仕事を休んだ事を謝った。



店長は、話せる時に話してくれればいいと、また俺を迎え入れてくれた。



押し潰されそうな不安と心配を抱えながらも、今俺に出来る事は何かと考えた。


鏡に映った自分の姿が、あまりにもくたびれていて、濁った目をしていた。



こんな姿をリカに見せてはいけない。


現実から逃げてはいけない。



リカは今もどこかで、必死に生きているだろう。



俺がしっかりしなくちゃ、リカを迎えに行けない。



大切な二人を守れない。




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