君が教えてくれた事



「宝来くん、話がある。」



仕事を終え、店を出る前に、沢村に呼び止められた。



彼女が何を言いたいのかは分かる。



リカを不幸にした張本人の俺が憎くてたまらないはずだ。




でも、人気のない公園を選んだのは、彼女がリカの親友で、リカを守るためだろう。



リカを心配し、リカの帰れる場所を壊さない為に。




本当なら、リカの事を知るみんなの前で俺を責めてやりたいはずだ。





鋭い視線で俺を睨みつける彼女の目を、俺は真っ直ぐに見た。




決して逸らしてはいけない。



彼女の発する言葉の一つ一つを、受け止めなくてはならない。





.
< 174 / 260 >

この作品をシェア

pagetop