君が教えてくれた事
「宝来くん、話がある。」
仕事を終え、店を出る前に、沢村に呼び止められた。
彼女が何を言いたいのかは分かる。
リカを不幸にした張本人の俺が憎くてたまらないはずだ。
でも、人気のない公園を選んだのは、彼女がリカの親友で、リカを守るためだろう。
リカを心配し、リカの帰れる場所を壊さない為に。
本当なら、リカの事を知るみんなの前で俺を責めてやりたいはずだ。
鋭い視線で俺を睨みつける彼女の目を、俺は真っ直ぐに見た。
決して逸らしてはいけない。
彼女の発する言葉の一つ一つを、受け止めなくてはならない。
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