君が教えてくれた事



いつもの様に洗い場で、汚れた皿を洗う。




「さっさとやれよ〜!」


「宝来く〜ん、まだコレ汚れてるよ?やり直〜し!」



明らかに俺より年下のヤツらが、俺をバカにする。



もう慣れている。


“悔しい”という感情を押し殺す事には。




「ちょっとアンタ達!何サボってんの〜?」



空気を換える様に、そう言ったのは、やっぱりリカだった。


リカが声をかけると、俺をバカにしていたヤツらも、素直に自分の持ち場に戻っていく。



リカがこの店で、信頼され、みんなから慕われている“人気者”である事は、入って1週間の俺にも、ハッキリ分かっていた。



だから余計に関わりたくなかった。




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