君が教えてくれた事



仕事が終わればまず、リカの部屋に向かう。



帰ってないって分かっていても、確かめずにはいられない。



そして自分のアパートに戻り、一人でコンビニの弁当を食べ、さっさとベッドに潜り込む。





朝、目が覚めるとリカにメールを送る。

【送信しました】


この文字を見ると、少しだけ安心する。

まだ俺とリカは、繋がってるんだって・・・

そう思えるんだ。




毎日毎日、いろんな所に行ってリカを探す。



デパートの子供服売り場や、おもちゃ屋。




街中の産婦人科。




仕事の時間ギリギリまで、当てもなくリカの姿を探す。



休みの日は、隣の県まで探しに行く。



俺は、リカの事何にも知らなかったんだなぁって、改めて実感するんだ。



リカが生まれ育った街も、両親と暮らしていた家も、通っていた学校も。




広い日本の中から、何の手掛かりもなく、リカを探し出す事は不可能なのかもしれない。



それでも、じっとしている事なんて出来ない。



リカから連絡が来るのをただ待つだけなんて・・・



そんな事は出来ない。





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