君が教えてくれた事
リカは海の近くの小さな工場で、住み込みで働いていた。
すごく寂しい場所で、この2ヶ月間、リカはどんな思いで過ごしていたんだろう。
竹下さんだけが、リカの妊娠を知っていた。
一緒に働いていた人達は、リカの妊娠を知って驚いていた。
みんな何か事情を抱えた人達なのかも知れない。
そこで働くおじさん達が、昔の俺と重なって見えた。
リカは竹下さんの事をすごく心配していた。
自分がいなくなった後、この寂しい工場で独りきりになってしまう事を。
「リカさん、私なら大丈夫です!絶対、幸せになって下さいね!
リカさんに会えて、良かったです!」
竹下さんは、笑顔で俺達を見送ってくれた。
彼女に何があって、この場所に来たのかを、リカは知らないと言う。
みんなそれぞれに何かを抱えて生きているのかもしれない。
でもきっと・・・
必ず、見つかるから。
本当に守りたい、自分の “居場所”が・・・
彼女がもし、俺達に助けを求めてきたのなら、俺達は必ず手を差し伸べるだろう。
彼女は、俺達の大切な命を助けてくれた、
一生忘れる事の出来ない恩人だから。
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