君が教えてくれた事
予定日を1週間過ぎた6月14日の早朝。
遂にその時を迎えた。
隣で眠るリカが、激しい痛みで、俺を起こす。
「歩太・・・陣痛きたかも・・・。」
慌てて体を起こすと、リカは必死に痛みと戦っていた。
体を固くして、顔を歪め、苦しそうに声を漏らす。
「あっ・・・タクシー、
救急車?」
俺は軽くパニック状態。
何度も頭の中に、この日の行動を叩き込んでいたのに、実際はオドオドするだけ・・・。
「歩太、落ち着いてよ・・・すぐには産まれないから・・・
とりあえずタクシー呼んで、病院行こ」
こんな時でも、リカの方が冷静だった。
タクシーを待ってる間に、病院に向かう準備をする。
痛みが和らいだリカを抱きかかえながら、玄関に向かう。
リカを玄関に座らせて、マンションの上からタクシーが来ていないかを見下ろす。
もう俺は、廊下と玄関を行ったり来たりで・・・
そんな俺を見てリカは笑った。
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