君が教えてくれた事




分娩室に入って1時間だった。




力強い、元気な産声が、俺の耳にも、リカの耳にもしっかりと届いた。



「おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」




リカはホッとした顔をして、柔らかく笑うと、涙を流した。


「リカ、お疲れ様!よく頑張ったなっ!」





正直・・・ここまで大変なものだと思っていなかった。



長い時間、苦しみに苦しみぬいて、命を産み落とす。



本当に命がけで、リカは俺の子供を・・・



俺の子供を産んでくれた。




胸がいっぱいで、嬉しくて、嬉しくて・・・


俺はまた涙が止まらなかった。





看護士さんが、リカの胸に、産まれたばかりの赤ん坊をそっと抱かせてくれた。



「・・・かわいい」



幸せそうな顔で、赤ちゃんを見つめるリカ。



本当によく頑張ったな!



ありがとう。




小さな小さな、俺達の子供は、リカの腕の中で、元気に泣いている。



しわくちゃで、真っ赤なお顔。


でも、めちゃくちゃかわいくて、まるで天使みたいだ。




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