君が教えてくれた事
リカの料理は、手を着けられる事なく、テーブルに置かれている。
休憩時間は、もう20分も過ぎているのに。
俺の事なんて、無視しておけばいい・・・
みんな、そうしているのに、リカはどうして、こんな俺の事を気にかけてくれるんだろう?
何でみんなと同じ笑顔を、俺にも向けてくれるんだろう?
「宝来くん!お待たせ〜!」
戻ってきたリカは、鶏丼と、唐揚げを笑って俺に差し出す。
「ありがとう。」
リカには、不思議とそう言う事が出来た。
少し冷めてしまっているだろう料理を、リカは美味しそうに食べている。
「おいしい?」
そう聞いてくるリカに、頷いて答えた。
人との関わりを避けて生きてきたはずなのに、リカの事は、無視しきれなかった。
.