君が教えてくれた事
間違えた距離
バイトを始めて1ヵ月が過ぎた頃、仕事にもだいぶ慣れ、バイトのみんなとの関わらない関係も、当たり前になっていた。
でも、リカは相変わらず俺に話しかけてくる。
俺もリカとは挨拶を交わす様になっていた。
休憩時間、リカと二人でバックルームで、従食を食べていると、リカは俺の事をいろいろと聞いてくる。
「宝来くん、何歳?そろそろ教えてよ?」
「21歳。」
俺が答えると、リカは嬉しそうに笑った。
「ねぇ、歩太っていい名前だよね!私、年下だけど、歩太って呼んでもいい?」
別に呼び方なんて、どうでもいいし、好きな様に呼べばいい。
でも、下の名前で呼ばれる事が、だんだんと、リカとの距離の取り方を、分からなくさせていったんだ。
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