君が教えてくれた事



リカは手紙の事について触れては来なかった。




父親の事にも。





いつもの様に、平凡だけど、穏やかな毎日が過ぎて行った。


でも本当は、心のどこかで、あの手紙の事が気になっていたんだ。





「歩太・・・話があるの。」




前半上がりの日、仕事を終えて、リカが用意してくれた、八宝菜を食べている時だった。




テーブルの上に置かれた手紙。




「捨てていいって言っただろ・・・」



「歩太、ごめん。
私、コレ読んじゃった。」




リカの言葉に、ドキドキと心臓が暴れ出す。




いったい何が書かれていたのか・・・



リカには、俺の過去は話している。



大丈夫だって、分かっていても、


リカの事を信じていても、



今の幸せが壊されてしまうんじゃないかって・・・



少しだけ、怖くなったんだ。




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