君が教えてくれた事



俺は、覚悟を決めて、手紙を読んだ。




手紙の差出人は、やっぱり俺の父親だった。




もしかしたら、別人じゃないかって、そう思っていたけれど・・・。





父親が俺に手紙を出したのは、住所を知ってしまったからだと、書いていた。



光の誕生日に、竹下さんが送ってくれたプレゼント。



伝票は、俺宛だった。





発送の受付をしたのが、そのおもちゃ屋で働く、6歳下の俺の弟だった。




宝来歩太の名前を見て、もしかしたらって、そう思ったらしい・・・。




確信はなかったが、どうしても、手紙を書かずにはいられなかったと。




手紙には、


“申し訳なかった。”と、書かれていた。




そして、直接会って、謝りたいと・・・



住所と、電話番号。



俺達が住んでいる場所から、そう遠くない隣の県に、俺の父親は、弟と2人で住んでいる。




義理の母親は、3年前に、亡くなったらしい。



3年前・・・


光が産まれた年。



俺は、本当に何も知らずに生きてきたんだ。



もう本当に、俺には関係のない、人達なんだ・・・。




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