君が教えてくれた事
「リカ、次リカの歌、入ったよ!」
沢村がリカにマイクを渡すと、
「じゃあ、そろそろリカちゃん、歌いまぁ〜す!!」
そう元気よく叫んで、リカは立ち上がった。
野上がリカの腕を引いて、前に連れ出した時、一瞬合った視線から、コイツが俺からリカを離したがっているのを感じた。
リカは楽しそうに歌っていた。
そんなリカに、応える様にみんなが盛り上がっていく。
「イェーイ!リカちゃん最高!!」
曲の間奏に入った時、リカが俺の腕を掴んで、そのまま俺を前に連れ出した。
リカは、楽しそうに俺に笑いかける。
その笑顔を見て、なんとなく俺もおかしくなって笑った。
次の瞬間、
「お前っ調子に乗ってんじゃねーよっ!」
野上の怒鳴り声が響いた。
再び凍りつく部屋の中で、野上は俺を睨みつける。
ゆっくりと近づいてくる野上に、
「圭太やめとけっ!」
そんな声も聞こえた。
隣にいたリカは、不安そうに俺の腕をギュッと掴んだ。
「お前、リカちゃんが優しいからって勘違いすんなよっ?」
まっすぐ俺を見る目から、コイツがリカの事が好きなんだと言う事が分かった。
「圭太、何言ってんの?
・・・歩太、関係ないじゃん!」
リカが俺を庇った瞬間、野上の目に怒りを感じた。
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