君が教えてくれた事
携帯電話
リカとの約束の日。
俺は時間より、15分も早く待ち合わせの場所でリカを待った。
平日の昼間にも関わらず、たくさんの人が行き交っている。
俺は壁に背中を預けて、ただぼんやりと見ていた。
スーツ姿のサラリーマンや、ベビーカーを押す若い母親。
俺には関係ない人達。
でも、同じ国で、同じ時間を生きている。
この人達には、それぞれの生活があって、人生がある。
自分の人生さえ考えた事もないのに、そんな事を考えている自分が不思議だった。
「歩太おはよ〜!・・・ごめんね。・・・遅くなっちゃった・・・!」
約束の時間を5分くらい遅れたリカが、息を切らしながら、走ってきた。
「おはよう。」
約束をすれば、リカはちゃんと来てくれるんだ・・・?
俺には、それさえも、すごく特別な事の様に感じた。
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