君が教えてくれた事



会計を済ませた俺に、リカは


「ごちそうさま!」

と、笑顔でお礼を言う。




リカの笑顔は、不思議な力を持っている。



今まで、何も感じなかった俺が、リカの笑顔を見ると、いつも心の奥の方が、温かくなるんだ・・・






俺達はそのまま二人で【海賊】に向かった。



店長以外はまだ誰も来ていない。



着替えを済ませて、ホールの客席で、みんなが来るのを待った。




でも、バイトのみんなが出勤してくると、少しずつ現実に引き戻されて行く。




リカがいくら優しくしてくれても、みんなと俺は違うんだって・・・。








仕事中、リカと何度か目が合った。



目が合う度に、リカは笑顔を向けてくれる。



俺は照れくさくて、リカから視線をはずしてしまう。



気持ちがバレてしまいそうで、怖かった。





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