君が教えてくれた事
部屋に戻ると、すぐに俺達は弁当を食べ始めた。
「あ〜ん!」
突然、口元に持って来られた唐揚げに、とっさに口を開けた。
自分の顔が、一気に熱くなるのを感じた。
リカは満足そうに笑うと、両手で俺の頭を、ガシガシと撫でた。
「ばかっやめろよっ!」
俺がそう言っても、リカは嬉しそうに、残りの弁当を食べ始めた。
でも、食べ終わると、リカはまた、黙ってしまった。
リカが喋らないと、この部屋は静かなまま。
「これやって?」
俺はポケットから携帯を取り出して、リカに渡した。
「あっそうだね!教えてあげるよっ!」
リカは、俺の隣に座ると、一生懸命に説明してくれた。
でも俺は、リカの説明を聞きながらも、リカから目が離せなかった。
下を向いた時の、二重の幅とか、長い睫毛とか・・・
俺を見上げて笑う、いつもの笑顔とか・・・
全部が、かわいいって思ったんだ。
俺なんかが、好きになってはいけないって、分かっているのに・・・。
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