君が教えてくれた事



「そろそろ、帰ろうかな・・・?」



外はもう、明るくなり始めていた。



「送ってく」





リカの家まで、俺達は無言で歩いた。



まだ帰ってほしくない・・・



どんどん欲を出す自分をヤバイと思った。




これ以上は、好きになっちゃダメだ・・・



分かっていても、自分の感情をコントロール出来ない。



「ありがとう。ここだから。」



リカは小さなマンションの前で足を止めた。



俺は何も言わずに、そのまま来た道を戻った。



「歩太っ!」



名前を呼ばれて振り返ると、リカは心配そうな顔をしていた。




「歩太、あの・・・今日、バイト大丈夫?圭太の事・・・。」



「別にあんなの気にしてないよ。」



俺はそれだけ言うとまた歩き出した。





しばらく歩くと、ポケットから、メールを知らせる音楽が鳴った。



〈歩太、今日はわがまま言ってごめんね
シュークリーム、食べるの忘れちゃったよ・・・
次、行った時、食べるから、歩太たべちゃダメだよ〜

送ってくれて、ありがとう〉




.
< 55 / 260 >

この作品をシェア

pagetop