君が教えてくれた事



部屋に戻ると、袋に入ったままのシュークリームを冷蔵庫に入れた。



リカがまた、来てくれるかもしれない。


さっきまで、リカがいた部屋。



いつもと同じ部屋なのに、今はやけに静かに感じる。




俺は携帯を取り出して、リカに返事のメールを送った。


〈早く寝ろ〉


それだけ。




リカのメールはすぐに届いた。



俺はそのメールを見ながら、ベッドに入った。



いつもより淋しく感じる部屋の中で、でもいつもより穏やかな気持ちで眠りについた。











♪〜♪〜♪


目覚ましとは違う音。



俺は冷め切らない意識のまま、手を伸ばした。



「・・・もしもし。」


『歩太おはよ〜!寝てた?』


電話越しに聞こえる明るい声。


「・・・・・・リカ?」


『そうだよっ!歩太、そろそろ起きないと、遅刻しちゃうよ?』


その言葉を聞いて時計を見ると、すでに3時を過ぎていた。


「ありがとう。ヤバかった。用意するわ。」



電話を切った後、俺は慌ててシャワーを浴び用意をした。



携帯を掴むと家を飛び出した。



今日は自転車が無いんだ。




.
< 56 / 260 >

この作品をシェア

pagetop